「日本の終末医療」のこと
日本の終末医療は諸外国に比べて遅れを取っているのが事実です。ホスピス施設や緩和ケア病棟などが需要に対して不足している上に、在宅ケアの支援体制の整備も遅れています。それでも、高齢化社会の進む日本では需要は増えることはあっても減ることはありません。今後、ますます必要性の増してくる終末医療について考えるサイトを立ち上げてみました。このサイトへのお問い合わせはメールフォームよりお願いいたします。
医療は人の命を救うのが、本来の目的です。医療従事者として医療現場で活躍することを目指している学生さんにとっても、その思いは変わらないと思われます。しかし、同じ医療でも、終末医療は、治癒の見込みのない患者さんの肉体的精神的苦痛を和らげることを目的として、安らかな最期を迎えられるようにケアするという倫理性の高い、崇高な役目をもっています。終末医療に関与することは、同じ医療従事者よりも精神的な強さを求められるものですが、間違いなくスキルアップと人間的な成長も図ることができるはずです。
医療は人の命を救うために発展してきましたが、回復の見込みのない患者さんに対しては、その治療が苦痛となる場合があるのも事実です。それを踏まえて、1960年代にイギリスで終末医療としてホスピス、緩和ケアという考え方が発祥し、広まってきました。終末医療は基本的にはホスピス施設や緩和ケア病棟などで患者さんの肉体的苦痛や精神的苦痛を和らげることを目的に実施されるものですが、最近では自宅で最期を迎えたい患者さんのために療養支援施設も増えてきています。
終末医療の基本はチームで患者さんのケアにあたることです。医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、臨床心理士などの医療従事者で構成される緩和ケアチームが終末期の患者さんの肉体的な苦痛を軽減したり、精神的な不安や恐怖を和らげたりして、最期を迎える日まで平穏な時間を維持できるようにしていきます。治癒の見込まれる患者さんに生活の質が求められるように、終末期の患者さんには死の質を高める努力の必要な時代になってきたのです。
緩和ケアチームに所属する薬剤師の仕事は通常の薬剤師と違って、特殊なものです。通常は治療のための薬を調剤するのが薬剤師の仕事ですが、緩和ケアにおいては終末期の患者さんの肉体的な苦痛を緩和するための薬品(鎮痛剤や麻薬など)を調剤するのが主な仕事となります。その際には、患者さんと直接面談をしたり、コンセンサスを取ったりすることも多く、心のケアも同時に求められます。その結果、通常の薬剤師の仕事では得ることのできない患者さんとのコミュニケーション能力を身につけることができます。
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緩和ケアチームの看護師はチームの要であると同時に直接患者さんやその家族をケアするキーパーソンでもあります。患者さんと接する時間が最も長く、その肉体的苦痛や精神的不安をいち早くキャッチしてケアするとともに、家族の不安や心労をケアする役割も担っています。
現在の日本では、ほとんどの人が一般の病院で最期を迎えます。ある調査によると6割超の人は自宅で最期を迎えたいと考えていますが、実態は年に8%程度の人しか自宅で最期を迎えることができていません。これは、在宅での終末医療を支援する体制ができていないためです。今後、終末期の患者さんの死の質を高めていくためにも、在宅医療の整備が必要です。