終末医療と看取り
日本の終末医療を考える
日本の終末医療を考える
「日本の終末医療」のこと
日本の終末医療は諸外国に比べて遅れを取っているのが事実です。ホスピス施設や緩和ケア病棟などが需要に対して不足している上に、在宅ケアの支援体制の整備も遅れています。それでも、高齢化社会の進む日本では需要は増えることはあっても減ることはありません。今後、ますます必要性の増してくる終末医療について考えるサイトを立ち上げてみました。このサイトへのお問い合わせはメールフォームよりお願いいたします。
終末医療と看取りはそれぞれに異なる概念を持ちますが、最期を迎える患者さんの苦痛を専門的な視点から和らげて、尊厳を守り抜くという目標は共通しています。明確な違いは、医療的ケアの実施の有無です。医療的ケアを行いますが、あくまで苦痛を和らげるための投薬や処置を行うのであり、延命処置や治療目的ではありません。
「看取り」とは、単に亡くなる瞬間を迎えることだけを指しているのではありません。最期を迎える前から患者さんに寄り添い、身体的・精神的な苦痛を和らげながらケアを行うという意味を持ちます。
これは、基本的に経鼻栄養や点滴を積極的に行うといった延命を目的とした医療行為による治療を含まない、自然な経過を尊重した終末期のケアを指します。住み慣れた自宅で最期のときを迎えたいと望む方も多くいらっしゃいますが、実際には病院や特別養護老人ホームなど、多様な施設においても看取りは行われています。専門的な知識や技術を持つ職種がいる環境であれば、終の棲家としてより安心して最期を迎えられると考えられています。
看取りと終末期のケアには、提供される環境と中心となる専門職種に大きな違いがあります。終末期医療は、病気の進行により治癒が見込めなくなった患者さんに対して行われる医療的なケアを指します。ここでは、病院やクリニックなどの医療機関が主な舞台となり、医師や看護師などの医療従事者が中心となって、苦痛の緩和を目的とした高度な医療的処置や投薬などが積極的に行われます。
終末医療に対し、看取りは、病気や老衰などで自然な死を迎えようとしている方に対して行われるケアを指します。看取りの場は、自宅や介護施設といった生活に近い環境が中心です。ここでは、原則として延命を目的とした医療的ケアを行わず、介護職員などが中心となって食事の介助や清潔保持といった日常生活の支援を重点的に行います。つまり、終末医療が「医療」に重きを置くのに対し、看取りは「生活の質」と「尊厳」の維持に重きを置く点が、明確に異なっているポイントなのです。
看取りと終末期医療は、呼び名は異なりますが、その根幹には共通する重要な理念があります。どちらのアプローチも、単に生命を維持することだけではなく、人生の最終段階にある方の尊厳と最期までその人らしくあることを最大限に尊重することを目標としています。
病気の治癒を目的とした積極的な延命治療は行わず、患者さん自身の価値観や意思を最優先に考えたケアが中心となります。このため、医療処置の選択においては、ご本人やご家族との十分な対話を通じて意思決定が行われます。最大の焦点は、残された時間を穏やかに過ごしていただくために、痛みやその他の身体的な苦痛、精神的な苦痛を専門的に和らげることに置かれます。苦痛の緩和を徹底することで、患者さんが最期まで質の高い生活を送り、尊厳を持って安らかに旅立つことを目指すのが、この二つの共通する本質的な目的です。
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緩和ケアチームの看護師はチームの要であると同時に直接患者さんやその家族をケアするキーパーソンでもあります。患者さんと接する時間が最も長く、その肉体的苦痛や精神的不安をいち早くキャッチしてケアするとともに、家族の不安や心労をケアする役割も担っています。
現在の日本では、ほとんどの人が一般の病院で最期を迎えます。ある調査によると6割超の人は自宅で最期を迎えたいと考えていますが、実態は年に8％程度の人しか自宅で最期を迎えることができていません。これは、在宅での終末医療を支援する体制ができていないためです。今後、終末期の患者さんの死の質を高めていくためにも、在宅医療の整備が必要です。
「日本の終末医療」について日本の終末医療や死の質などを考えるきっかけにしてもらいたいと思い、当サイトを立ち上げております。
