「日本の終末医療」のこと
日本の終末医療は諸外国に比べて遅れを取っているのが事実です。ホスピス施設や緩和ケア病棟などが需要に対して不足している上に、在宅ケアの支援体制の整備も遅れています。それでも、高齢化社会の進む日本では需要は増えることはあっても減ることはありません。今後、ますます必要性の増してくる終末医療について考えるサイトを立ち上げてみました。このサイトへのお問い合わせはメールフォームよりお願いいたします。
ホスピスは終末期患者のためのケアを行なう医療機関のことです。外国では患者の自宅に医療設備を搬入して看護師が常駐して、モニター監視を行なうこともホスピスと呼んでいますが、日本では患者を収容して緩和ケアや必要最小限の医療行為を行なう医師と看護師が常駐している医療施設のことをこう呼んでいます。日本ではこの終末医療を行うホスピスが不足しています。
ホスピスの起源でもあるイギリスでは最近は医療施設ではなく、在宅療養に移行しつつあるようです。医療設備の整った施設よりも、家族に囲まれて安らかな最期を迎えたいという患者の希望を最優先させるという考えに基づくものです。終末医療を自宅で行なうには家族の負担が大きいため、患者の家族へのフォロー体制が十分に整っていなければなりません。そのためイギリスでは在宅での終末医療にはホスピスのための特別な資格を持った専門看護師が付き添うのが一般的です。
この専門看護師がいる事によって家族の介護への負担が軽減され、緊急時にも適切な医療が施せるようになるので、患者だけでなく家族の生活の質へもきめ細やかな配慮が行われることになります。
では日本のホスピスはどうなのでしょうか?実は日本では在宅での終末医療はおろか、医療施設としてのホスピス自体も不足しているような状況です。平成23年時点で、死亡者全体の中で自宅で死を迎えた人の割合は8%程度で、ホスピスで最期を迎えた人も同じく8%程度に過ぎないと報告されています。現状も終末医療用のホスピスの建設が高齢化社会のスピードに全然追いつけていないため、多くの終末期患者は一般の病院で最期を迎えているのです。
海外のように自宅で終末医療を行なうことが少ないのは、設備や専門看護師などの人材の不足のほか、日本人の病気や死に対する考え方の違いも影響しています。日本では、日々衰弱していく家族を自宅で目の当たりにしているのは辛いという考えを持つ人の割合が海外に比べて多いというのです。また、同時に一人暮らしの高齢者の割合も年々増加傾向にあり、孤独死よりも施設で医師や看護師にみとられながら安らかに死にたいと願う人の割合も少なくありません。このため日本では在宅の終末医療よりもホスピス等の終末医療施設を充実させる方がいいと考えられているのですが、実際にはインフラ整備が追いついていないというのが現状です。
現在、日本ホスピス緩和ケア協会によると、ホスピスあるいは緩和ケア病棟は321病院(累計)、病床数は6421床(同)あって、緩和ケアチームのいる施設も215カ所にとどまっています。がんによる年間の死亡者数は37万人程度ですから、ホスピスの数は全く足りていないということになります。 高齢化社会となった日本ではがん患者も年々増加しています。また、終末期を迎えて畳で死にたいと思う反面、それを諦めなければならないという現実も抱えています。そういった意味では病気の苦痛の緩和と安堵感を与えるホスピスはますます需要が高まっているのです。 現在、日本のどこにホスピスや緩和ケア病棟があるかを知るには、インターネットで検索してみるのが早道です。例えば、病院口コミサイト「caloo」で、全国のホスピス科や緩和ケア病棟の検索をすることができます。
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緩和ケアチームの看護師はチームの要であると同時に直接患者さんやその家族をケアするキーパーソンでもあります。患者さんと接する時間が最も長く、その肉体的苦痛や精神的不安をいち早くキャッチしてケアするとともに、家族の不安や心労をケアする役割も担っています。
現在の日本では、ほとんどの人が一般の病院で最期を迎えます。ある調査によると6割超の人は自宅で最期を迎えたいと考えていますが、実態は年に8%程度の人しか自宅で最期を迎えることができていません。これは、在宅での終末医療を支援する体制ができていないためです。今後、終末期の患者さんの死の質を高めていくためにも、在宅医療の整備が必要です。