終末医療で苦痛を鎮める薬剤師

日本の終末医療

日本の終末医療を考える

「日本の終末医療」のこと

日本の終末医療は諸外国に比べて遅れを取っているのが事実です。ホスピス施設や緩和ケア病棟などが需要に対して不足している上に、在宅ケアの支援体制の整備も遅れています。それでも、高齢化社会の進む日本では需要は増えることはあっても減ることはありません。今後、ますます必要性の増してくる終末医療について考えるサイトを立ち上げてみました。このサイトへのお問い合わせはメールフォームよりお願いいたします。

苦痛を鎮める薬剤師

苦痛を鎮める薬剤師

終末医療における緩和ケアチームには、医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、臨床心理士等で組織されるという説明を致しましたが、緩和ケアにおいて痛みを和らげる直接の手段を提供するのが薬剤師の仕事です。回復の見込みのない末期がんは患者さんを痛みで苦しめます。それを薬の作用で和らげて、最期まで人間らしい生活を送ってもらうための対処をするのが緩和ケアにおける薬剤師の重要な役割です。

薬剤師の役割

終末医療の緩和ケアチームは患者さんは勿論の事、家族の方々も含めて総合的に対処を行うことになります。回復の見込みのない患者さんの生活の質を保つための緩和ケアは非常に重いテーマを背負った業務です。そのチームのメンバーとして薬剤師にはどのような役割が求められるのでしょうか。
緩和ケアにおいて重要なことは、延命を目的とした病気の治療ではなく、患者さん及びその家族の方々の肉体的精神的な苦痛や、やがて訪れる死に対する不安や恐怖をどれだけ和らげてあげるかという点になります。その視点に立ったうえで薬剤師にまず求められるのは、苦痛を和らげる薬を提供することです。
例えば、末期がんの場合、緩和ケアにおいては基本的に抗がん剤は使用しません。抗がん剤は副作用により大きな苦痛を与える事が多いため、回復の見込みのない患者さんにはただ苦痛を増長させるだけの処置となってしまうからです。この場合は鎮痛を主目的とした薬を投与することになります。

鎮痛を目的とした薬の投与

緩和ケアのために鎮痛を目的とした薬を投与する場合、その症状の重さによっては麻薬系の薬を使用する場合も出てきます。日本では、麻薬という言葉にはマイナスイメージが強いため、それを使用するにあたっては患者さんや家族の不安を払拭してあげることも薬剤師の大切な役割の一つです。
患者さんや家族に対して、なぜ麻薬を使用するのかという説明、あるいは麻薬というものが使い方によっては非常に有効なものであるということを納得してもらうための資料作成などが必要になりますし、使用する麻薬についての情報について緩和ケアチーム内できちんと共有するということも薬剤師の重要な役割なのです。
また、肉体的な苦痛を取るほかに、薬の影響や精神的な不安からせん妄状態が起きないようにすることも緩和ケアにおいて重要なポイントです。患者さんの状態によっては抗精神剤等を投与する必要もありますので、使用に際しては患者さんや家族に対して充分な説明を行って理解を得る必要があります。

緩和ケアチームの薬剤師の重要性

以上のように緩和ケアという医療の中でも大変に重いテーマに向き合う業務においても、薬剤師に求められる役割は非常に重要なものになってきています。緩和ケアに薬剤師として係わることは、いつもよりも間近で人の死について考えさせられることになり、非常に精神的に負担のかかる仕事となりますから、精神的なタフさも求められます。それでも、最期を迎えつつある患者さんの生活の質を維持するために最善を尽くすやりがいのある仕事であることには間違いありません。

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